2009/10/28 OTC Cadaveric Hand&Wrist course 2日目 [平日]

8:10 セミナー会場のIRCADに到着。コーヒーや軽食が置いてあるので自由に頂ける。
ロビーのカフェテリア.jpg
8:30 手術室に移動する。ここではディスポの手術着に着替える。今日は一日中この恰好で過ごすことになった。手術室には上腕からのcadaverが15-6体置いてある。だいたい2人一組でこれを用いて実習が行われる。Tuebingenのanatomyで行われたコースもそうだったが、まず講師がdemonstrationをして(直接見にも行けるが、各テーブルには比較的大きなモニターが付いているのでそこでも見ることができる)から、実習にうつる。
9:00 まず始めに橈骨遠位端骨折の骨接合が始めた。コンビはリトアニアのSmikus君とだ。デジカメを向けると笑顔で手を振ってくれた。
手を振るSmikus君.jpg実習室風景.jpg
デモでは方形回内筋は温存することもあるが、通常は橈側縁でcutすると言っていた(plate固定後は縫合しないという先生やshoe race sutureのようにして締めあげて縫合するという先生など様々)。Smikus君が展開したいということで助手をする。彼はdemoの先生の言う通り忠実に、腕橈骨筋の付着部もしっかり剥離していた(この操作が後で厄介なことになってしまうのだが・・)。骨折は自分でつくることになる。まずは関節外単純(A2)を作成してplate固定を行い、更に関節内単純(C1)として、再度plate固定を行う。使用plateはS社のVariaxである(polyaxialのlocking plate)。デモの説明でもwatershed lineについて強調していた。このcadaverの橈骨掌側面の関節面からの立ち上がりの角度が結構急峻であるため、plateの形態と若干合わなかった(関節面に近い適切な位置に設置しようとすると若干plateが浮いてしまう)。しかしpolyaxialなので遠位locking screwの刺入方向を工夫すれば何とかなる。
10:20 次にNon-bridging創外固定のデモが行われていた。しかし参加者の中では興味がないのか見ていない者もいる。勝手に自分らで色々と試してしまっているグループもある。この先生は背側から創外固定pinをsubchondral supportするのが大事だと言っていた。
実習デモ風景.jpg
10:50 Coffee breakとなる。手術室は3Fでロビーは0Fなので移動する。真面目なグループはそのまま続けていたが、殆どは休憩に入っていた。
11:20 次はGupta先生が、posterior interosseus flapのデモをしてくれた。このcadaverには血管に樹脂が注入されている(テュービンゲンの時は赤色だっだが、こちらは緑色だった)。血管の同定が容易である。血液が流れていないとflapの挙上は難しいので、これはデモを見るだけの感じになっていた(後で休憩時間に一人でやってみたが、やはり難しかった)。その後、DRUJの不安定性に対するBrachioradialis wrapについての説明があった。橈骨神経浅枝に注意して、Brachioradialisを付着部から展開し(ここで先ほどSmikus君が橈骨遠位端骨折の整復の時に剥離し過ぎて付着部が剥がれてしまっているのが解りショック!)、別皮切で筋腱移行部を展開してcutし、遠位側に引き出すという手技である。その後、ECUとFCUの間から尺骨を展開し骨膜下に剥離、cutしたbrachioradialis tendonを方形回内筋の下(橈骨に接して)を通し、尺側に出す。DRUJのやや近位で尺骨をwrapするように今度は背側からEDCなど伸筋腱群の下(橈骨に接して)を通し橈側に出す。最後は橈側でbrachioradialis付着部と尺側に回した腱断端を縫合して終了。どの程度の緊張度にするかは難しいが、使っているうちに結構緩むそうなので少しきつめが良いのかも知れない。また、腕橈骨筋力が落ちそうだが、muscle成分は残っているのでそこまでは気にならないと言っていたが果たしてどうだろう?
腕橈骨筋wrap.jpg
12:40 Lunch timeとなった。昨日もそうだが、テーブルにはまずオードブルのようなものが既に置いてあり、残りは(温かいもの)それを食べ終わってから取りに行くというスタイルになっている。さすがはコース料理の本場フランスだけはある。味もなかなかよろしかった。
プチコースのランチ.jpg
今日は昨日からの2人(リトアニア・デンマーク)に加え、親日家のLiverneaux教授が座ってきてくれた。先生は今Robotic surgeryに力を入れておられ、熱くその将来について語ってくれていた。現在でも技術的には遠隔手術(例えば東京で操作して福岡で手術を受けるなど)は可能だということだが、情報送信費用がかなりかかってしまうそうだ。しかし、これらの問題も数年後には解決するだろうと自分のiPhoneを見せながら(5年前にはこんな便利なものはなかったと)説明してくれた。日本でも先進医療として認められれば大病院を中心に普及していくに違いない(もう実際に導入している所もあるようだが)。
13:30 午後は中手骨骨折や矯正回転骨切りなどについてのデモがなされる。S社のハンド用plate setには矯正骨切り用のplateも入っている。このplateを用いれば比較的簡単に±20°までの回旋変形を矯正できる。他には第5中手骨頚部骨折に対しての側方アプローチによるplate固定の説明があった。これには議論もあり、頚部であればK-wireの髄内釘でも成績に差がないという意見もあった。保存的にも治療できるケースも当然ながらある訳で、一つの治療方法に固執することなく、case by caseで考えることも重要なのだろうと思わされた。
14:30 デモではkite flapやvascularised bone graftが説明された。しかし、残念ながら参加者のCadaverには樹脂が注入されていないので、flapの挙上は難しい。あまり試しているグループはなく、骨接合などの方を主にしているようだった。Smikus君もsoft tissueを扱うよりORIFの方が好きだと言っていた(image checkはcadavarの上肢を持ち歩いてimageの所まで持っていき確認する。誰もプロテクターは付けておらず、被曝を気にしてる様子はなかった。ロシア人は被曝には敏感だと思っていたのだが・・)。
image checkに並ぶ参加者.jpg
15:00 Kite flapやmetacarpal flapを一人でやっていると、ここストラスブール大学の若い先生(おそらく片付けなどの手伝いできている)が一緒についてくれた。私と同様、あまりそこまで詳しくはなさそうだったが、一緒にあれこれ考えながらtryしてみた。結構楽しかった。
15:30 もう既にだいたいの参加者はcoffee breakに入っていた。実習は終了のようだ。片付けの人達がまだかな?という感じで見に来るのでそろそろ諦めることにした。
15:40 最後に講義室で講義が幾つかあった。最後と言うこともあり、若干気が緩んだのか少し眠たくなったが、何とか気力を振り絞り頑張った。
16:20 最後のコースのアンケートの記入があり、それを提出すると証明書が授与される。飛行機の関係で早めに帰る人もあり、少し早めに終了となった。私は今日も宿泊なのでゆっくりしていたが。
大学病院のクリニック棟.jpg
17:00 ホテルまでのバスが出るということだったので、大学病院周囲を散策しながらぶらぶらして戻って待っていても、バスがいくらたってもやって来ない。自分を含めて計5人待っていたのだが、15分過ぎても来ないので、おかしいと思い聞きに行くと、参加者がいないようなので今日のバスは来ないことになりましたと。。。。え~聞いてないしと、ちょっとムカッとしたが、仕方なくタクシーを2台呼んでみんなで帰ることになった。最後はとんだハプニングがあった。タクシーは一人クウェートからやってきた年配の先生と一緒になった。エジプト出身とのこと。湾岸諸国はインド人も多いが、エジプト人も結構多いのだと言っていた。やはりオイルマネーで潤っているようで税金はないそうである。
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