2009/10/7 Tuebingen cadaver courseでお手伝い [平日]

6:10 今日は若干早めに起床した。外はまだ暗い。早朝は肌寒いが天気は良さそう。
7:10 隣の大学の解剖棟で行われるCadaverを用いたflap courseに参加することになっているのでいつもより早目に部屋を出る。このコースは明日からShaller教授が主催のドイツ手の外科学会のプレセミナーの位置付けで、Rahmanian責任者のもと準備されていた。私も昨日からその準備の手伝いをさせられている。今日も手伝いがてらcourseへの参加を許可されているのである意味ラッキーである(参加費は通常かなり高額)。
7:25 BG病院の中庭から大学への近道があるのだが、まだ閉まっていたため、遠回りになってしまったが早足駆けつけに到着。既に係りの学生(ボランティアではなくしっかり報酬をもらえるのだそう)や、directorのRahmanianがいた。少しずつ参加者が集まりつつあった。総勢20名の予定になっている。
良く働くpretty students.jpg
7:40 Schaller教授の挨拶の後、簡単な説明が始まった。参加予定者に一人欠員が出たらしい。私はビデオやカメラ係りをしつつ、欠員が出たグループのassistをするよう指示された。
7:50 デモ用1体、参加者用5体の計6体のCadeverが並べられている。四肢を扱うcourseでは左右使えるので、2人1組で実習することとなる。解剖と言えば、医学部2年生時のあの強烈なホルマリン臭の記憶があったのだが、このAnatomyは近代的でさほど臭わない。保存法に工夫があるのだろうか?参加者はざっとみる限り、中堅からベテランの方が殆どを占めていた。女性の参加者も比較的多い。
8:00 1例目は橈骨遠位の橈骨動脈からの分岐を利用した血管柄付き骨移植だった。ここら辺の解剖は橈骨遠位端骨折MIPOの発表の時に調べたことがあったので、たまたま良く知っていた。BGのShaller教授が10年以上前にこの解剖で論文を書いている。講師はドイツの有名な先生のようだ。KO大のToshiを知っているか?と聞かれたり声をかけてくれる。
熱弁を奮う講師の先生.jpg
方形回内筋筋膜表面に橈骨動脈に対して垂直に走行するarteryをメルクマールに方形回内筋を鋭的にcut、骨膜ごとノミで採骨していく。muscleに含まれる血管と骨膜が剥離しないように注意しなければならない。この手技はキーンベック病や近位型の舟状骨偽関節の症例などに良い適応があると思われるが、その他にも幾つもの血管柄付き骨移植の方法が発表されているので、それぞれのメリット・デメリットを考えることと、あとは自分の慣れた手技が結局は良いのではないだろうか?
9:20 終わった班から自由に休憩に入っている。あまり時間に縛りがないのが面白い。講師の先生がデモをしている最中から、勝手に始めちゃっている班もあれば、貴方達何しに来たん?というくらいやる気のない班もある。朝のコーヒーブレークでは飲み物各種とクッキー、サンドウィッチなどが振る舞われている。
休憩タイム.jpg
9:40 2例目は血管柄付き遊離腓骨移植だった。このような手術は自分には関係ないと最近まで思っていたのだが。。。しかし、この手技をマスターすれば難治性の偽関節治療などに多大な効果を発揮することになるだろうと期待する(もちらんイリザロフとの使い分けも重要と思う)。bone sawを用いたりするので、デモのassistを頼まれた。本当は写真を撮ったりしたかったのだが仕方がない。解剖は昨日のスタッフの仕事により、動脈にラテックス製の蛍光塗料(赤)が注入されているので、細動脈までも鮮やかな赤に変色しているので比較的同定し易い。当然動脈を切っても出血はしないのだが、この固まった塗料が若干にゅるっと出てくる感じが新鮮である。デモでassistしたこともあり、手技の流れは良く解った。腓骨骨膜にはSoleusとPeroneusの筋間(腓骨骨軸よりやや後方に位置)からアプローチし、骨膜下に剥離を進める。EDL・EHLを骨膜下に剥離していくとseptumが解る。必要な長さ分(後脛骨動脈からの腓骨への栄養血管は腓骨長の近位1/4程度のところから出ていたので、その場所が確認できる位置で)をbone sawで両端をcutする。cutしてFHL・TPが付着しているだけで不安定になった遊離腓骨をコッヘルでつまみ、それをjoy stickにして、septumをcutするとTPが露出してくる。すると同定すべき動静脈が容易に確認できる。遠位から剥離していき、血管系を遠位で切離(臨床的には結紮)する。血管の周りのmuscleはあまり剥離せず、一部muscle(TP・FHL)ごと切離してしまった方が安心である。Cadeverでは思い切って手技が出来るが実際は出血のコントロールがあるため始めは苦労するに違いない。何となく解った気になってしまうのが怖い。
血管柄付き腓骨挙上.jpg遊離腓骨に重要な解剖.jpg
11:30 だいたい参加者が手を下ろし始めた。これから昼食タイムとなり、場所をBG病院のCasinoに移動する。講師陣は車で送迎、参加者とスタッフは案内を兼ねて、中庭を通って徒歩で移動。天気が良く今日は暑いくらいだった。7-8分のちょっとしたピクニック気分。
12:00 Casinoで参加者とともに昼食をとる。学生のPhilipは誘導係を任され、迷子者が出ないように気を配っていた。今日もパスタにした。デザート(チーズ風味のババロア?)も食べてしまう。
12:30 午後は13:30からなので多少時間が空いた。Rahmanian部屋でインターネットをして時間を潰す。彼も戻ってきたので2人でコーヒーを飲みつつゆっくりしてからまた大学解剖棟に戻った。
13:30 3例目は骨弁付き後骨間動脈島状皮弁だった。講義の後にデモが行われるのだが、併せて1時間以上もかかってしまったので、食後で眠たげな参加者もいるし、既に勝手に始めてしまっている人もいる。血管が比較的細く、深い位置にあるので講師の先生も結構手間取っていた。この手技は、DRUJと上腕骨外上顆を結んだ直線上に皮弁をデザインする。後骨間動脈は上腕骨外上顆から60mm(体格によっても違うと思うけど・・)くらいの位置で尺骨動脈から分岐してくると言っていたので、だいたいそこが皮弁の近位端となる。後骨間動脈はECUとEDMの間を走行しているので、それをメルクマールに展開していく。皮膚側にfasciaを付けて皮膚への穿通枝が剥離しないように注意していく。尺骨動脈からの分岐までは確認できなかったが、後骨間動脈のorigin近くでcutして、遠位側に皮弁を剥離していく。尺骨に入っている分枝が2ヵ所程あるので、そこで骨も一緒に採取して挙上することもできると言っていたが、実際の臨床上では術前計画を綿密に行わなければ難しい手技と思われた。手背部の軟部組織欠損(先日前鋸筋筋膜の遊離皮弁を行った症例など)に良い適応があると思われる。
デモを熱心に見学する参加者.jpg
15:30 休憩に入る。隣のグループは中年女医さん2人(うち1人はスプーンおばさんを若くしたような人だった)だったが、正直言ってやる気がなかった。遊離腓骨の時などは骨切りはしたことないし嫌だからと、代りにやってくれと言ってくる始末。。。一方、休憩にはいち早く駆けつけ、三時のおやつのとても甘そうなパイをパクついている。何を勉強しに来たのだろうか?
15:50 4例目はRahmanianが講師で、大腿骨内顆部の骨弁採取についてであった。外からのassistで関節鏡を用いて超マクロ映像を参加者に提供することができた。ビデオだとイマイチ接近画像に難があったので良い案だった。大腿動脈からhiatusに入っていく手前でdecending genicularisを同定する。vastus lateralisへの分枝はcutして、大腿骨遠位骨幹端骨膜への分枝を同定し、採取する骨をマーキングしてノミで採骨する。
16:50 だいたい参加者たちは満足したようで帰路について行った。2組だけ最後までしぶとく弄くり回していたが、他の参加者はあっさりしていた。私も片付けを理由に迷惑にならない程度に弄くってきた。有難うございました。しかし、基本的に全てドイツ語のコースなので、講義のfigureやデモで見て理解するしかなく、理解度はイマイチだったと思う。
セミナー終了後解剖棟前にて.jpg
17:20 病院に戻ると、Nusche先生にばったり会い、今カンファ室で明日のcongressのデモをしているよ。と言われたので顔を出してみた。4-5人の発表の予行会をしていた。内容が解らないので早く出たかったのだが、最後まで付き合ってしまった。発表のあとに机を叩くのが面白い(こちらでは叩くものがあれば机などを叩いて拍手の代わりにする。なければ拍手でも良いそう。始めはブーイングかと思ってみんなの顔を見てしまったけど)。
18:20 病院で今日の出来事をまとめることにする。今日もPhau先生にデジカメ画像をメールで送ってくれと頼まれていたので送付する(回線が良くないので、送付にえらい時間がかかることは他の先生は知らないハズ。簡単に頼むけど結構大変なのだ)。
19:50 帰宅。丁度急患入口前でSunder(インド人)に遭遇した。こんな時間にどうしたの?急患?いやただCasinoに食事に来ただけです。とのこと。たぶん彼も1週間ほどで飽きてくると思うけど口にはしなかった。
21:00 部屋にいると、ヘリコプターの音がする。ここは夜でもヘリが飛んでくる。今日は何の急患だろう?
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