2009/10/12 trauma team初参戦 [平日]

8:00 Stuby(長身のtrauma team のOberzt)先生に連れられて手術室に行く。Orthopaedic surgeonの中では、Prof. Weiseの人工関節グループと、関節鏡グループ、そして外傷グループと大きく3つのグループがある。だいたいグループによって使用する部屋が決まっている。今日は2列でtrauma teamが手術していたのだが、Stuby先生の列を見学させてもらうことにした。少し遅れてやってきたため、Sunderとassistant artztが既に準備して待っていた。今日は色々と外から見学させてもらうことにしよう。
8:20 1例目執刀開始。この症例は過去に脛骨骨幹部近位骨折のプレート固定後に2度も折損している症例である。荷重をかけ過ぎていたこともあるようだが、前医での手術が良くなかったものと思われる(コンパートメント症候群もあったようで筋膜切開後植皮術も行なっていた)。
2度も折損しているplate固定.jpg
今日は、プレート抜去後に髄内釘を入れる計画とのこと。執刀はStuby先生で抜釘までは順調にこなしていた。先生自身はscrew抜去で苦労したことはあまりないそうだ。Locking screw抜去の際は気動式ドリルを用いて行っていた。難なく全て抜去完了。しかし、これからが少しつまずいておられた。基本的に助手の先生がやる気がない感じを受けたのが可哀そうだったのだが、整復がイマイチで何度もやり直していた。今日の直接介助はFilitz(背が低いトルコ系のNs)、外回りがFabian(例の出来るカマっぽいNs、相変わらずウィンクしてくる)だった。Fabianが彼女に色々教えながらやっていた。彼は術者の先の動きまで読んで行動しようとしているのでなかなか大したものである。
ウィンクしているファビアン.jpgまだ新米のFiliz.jpg
10:00 こちらでは駆血せず手術することが多い(暫く経ったら凝固して止血するからだそうだ)。髄内釘を一度挿入してみたのだが、整復位が崩れてしまい(ガイドワイヤーの髄内の位置が良くなかったため)近位骨片が内反位になってしまった。結局はcentralization plate(5穴)を用いることになった(脛骨外側から前方寄りにplateを設置して骨折部を整復した後、髄内釘を挿入)。
10:30 今まで幾つか上手な手術を見せてもらったが、あのStuby先生にしては手こずっておられた。最終的にはcentralization plateをナローのLCPプレートに入れ替えていた(この手技はProf. Weiseが推奨しているよう。自分の考えではないと言っていた)。しかし、このcaseは2度も折損している特殊症例だから仕方ないと思われる。
11:00 最終的には側面で皮質分のズレがあり、術者はあまり気にいってはいないようだったがacceptとなり終了。少し時間がかかってしまったよう。
髄内釘+plate固定.jpg
11:30 Sunderと休憩室で軽食をとった後、他の手術もふらっと見学する。関節鏡グループが肩のacromion plastyをしていた。体位はビーチチェアでtractionは肘90°位にして肘に装具を装着してそれを水平に引っ張っていた。側臥位でもたまにすることはあるけど、基本的にはこのpositionでするとのこと。所変われば色々であると思った。
12:20 2例目が執刀開始。体重120-30Kgはあろうかという巨体の女性の上腕骨近位端骨折である。いわゆるsubcapitalで大結節は大丈夫のよう。
重そうなビーチチェアポジション.jpg上腕骨subcapital fracture.jpg
Deltpectoral approachで分厚い脂肪をものともせず、いとも簡単に骨折部まで到達(Stuby先生はこの手術は特に上手な気がする)。整復した後、すぐさまplate固定に入った(以前も使用していたシンセスのPhilosのゾロ商品:ドイツのAxomateという会社だそう)。ここでは、気動式ドリルは機械台に固定されたホルダーに置くようになっている。また邪魔にならないようにコードはバネのようになって伸び縮みしているのだ。インプラント類は全てunpackageで全て本物が機械台の上にあり羨ましい限りなのだが、一度挿入した後、長すぎて抜去したようなscrewも普通に戻して再利用している(内緒だが)。手技を細かく列挙するまではしないが、やはり肝を心得ている印象を受けた。Imageの確認はしつこいくらい行う(やはり重要なのはimageのsettingと体位の取り方である)。長いscrewはためらわず抜去していた。
imageを見つめるStuby軍団.jpg
13:10 皮膚縫合になり、Stuby先生は手を下ろす。術中は機械音がうるさかったり、近寄ると不潔になりそうなのであまり質問できない。手を下ろして点数入力などを行っている時がチャンスとばかり幾つか気になったことを聞いてみる。例えば、今日は若かったので骨幹部はlocking screwを使わなかったとか。。。
難なくこの出来.jpg
13:30 片付けは術中もガムを噛んでいる(時々こういうドクターがいる。学生でも噛んでいるのがいた。しかも女性で)asistant artztが行うので、術場を後にし昼食に向かう。
13:50 今日はチキンにカレー風味のソースがかかっている。メインはパサパサライスだ。ちょっと甘くてイマイチだった。デザートは部屋に持って帰ってキープする。
14:10 3例目の手術が準備されていた。外からの見学は、ある意味美味しい所だけを見れ気が楽だったりする。特別入りたい手術以外は外からの見学が多くなった。今はインドからのA O fellow Sunderが入ってくれているので人出も足りている。次は、足関節脱臼骨折(非開放性だが、腫脹が強かったので、即日は創外固定のみしたという症例)に対する、内果・外果のORIFであった。開放骨折以外でも即日創外固定を立てるのか?と聞いてみると、腫脹が強ければするとのこと。即日ORIFは?対応可能ならすることもあると。創外固定をたてるのはpoliticalな問題(即ち収入になるということ)も絡んでいるのだと言っていた。ここら辺は日本と同じようだなと感じた。
15:00 手術はStuby先生ではなく、下の先生がしていたので時間がかかっていた。こちらの若手医師はなかなか手術の執刀が回ってこないようで、手元もまだおぼつかない感じである。その点では、日本の若手は恵まれていると思う。特にうちの大学では専修医が執刀させてもらっているのだから。ある意味の下積みは重要だけど、いたずらにさせないのもどうかと思うし。その頃合いが難しい。外果はopenで骨折部をきっちり整復し、plateをbendingしてのtraditional fixationを施行(教育的配慮もあったよう)。内果もopenで骨膜を剥離し骨折部を整復後、tension band wiringを行った。優れていたのは、外周りの看護師がだいたいimageの操作をしっかり把握していて比較的迅速に見たい画像を提供してくれていることであった。教育もさることながら、看護師自らの自己研鑽もしっかりしているのだろうと感心した。
16:30 今日のdutyはだいたい終了した。Trauma teamのカンファレンスは、15:15からだったのでもう終わってしまっている。そのあとは自由なのだそうだ。
17:00 Sunderが街のインフォメーションセンターに行きたいと言っていたので、まだ時間もあるし一緒に付いて行ってあげることにした。バスはこの時間かなりの頻度でやってくるのでとても便利だ。
17:30 インフォメーションセンターで彼は、ミュンヘン行きのバスなどを調べたかったよう。私は、まだ行っていないテュービンゲン近郊の観光スポットの情報を入手した(しかし車がないとなかなか行くのが不便なことが判明する)。
18:00 部屋に戻って、彼がライドシェアについて知りたいと言うので、ホームページを(ドイツ語)開き、ここから希望の日時・出発地・目的地を入力してサーチすればリストが挙がってくることを教えてあげる(3-4週間早く来ているだけでちょっと先輩面したりする)。あとは彼のスケジュールに合わせて自分で調べてくれるだろう。
18:50 お腹も空いてきたので、今日は私が日本からの救援物資を用いて日本食を御馳走してあげることにした。ものの20分で料理完了した。
19:10 メニューは、キーマカレー、中華丼、ちょっと珍しいところでカキの丼ぶり、豚汁、フルーツ類(キウィ・オレンジ)、飲み物はビールもあったのだが、彼はあまり飲まないらしいのでほうじ茶となった。えらく美味しいと喜んでくれたので良かった。
ミックス丼ぶりセット.jpg満足してくれたSunder医師.jpg
19:30 彼がオマーンの名物のナッツやら名前を覚えられなかったが(干柿をもっと甘く濃厚にしたようなもの)などを幾つかくれた。彼もオマーンからインスタントのピラフのようなものをたくさん持参していた(パッケージを見させてもらったが、あまり食欲はそそられないのであった・・・悪いけど)。

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