2009/10/15 再び夕食をSunderとともに [平日]

7:45 カンファレンスが始まる。昨日飲みに行ったドクターにお礼の挨拶をする(誰が払ったかは不明だがおごってもらってしまった)。体格の良い女医さんはWermter医師と言うそうだ。愛想がなかなか宜しい。Trauma teamというどちらかと言うと男社会で頑張っているだけあり、シャキシャキしている感じ。ここのチームには4-5人の女性がいる。皆だいたい大柄である。体力に自信がありそうな方々が多い。朝のカンファはあっさりしているので10分程度で終了。
8:00 1例目は膝蓋部近位(関節外)の血腫除去などが組まれていた。今日も休暇中のRahmanian部屋で仕事をさせてもらう。
8:40 手術室に向かう。1例目は簡単に終了し、2例目の手術が始まっていた。尺骨近位に原因不明の骨化が生じて、疼痛と可動域制限(正確なrangeは解ってない?)を認めていたようだ。その骨化の切除を行っている。近位橈尺関節にも若干及んでいたようでそこがmain lesionのようであった。しかしこの骨化はまた出来てこないだろうか?画像的には成熟しきった骨化であるようには見えたのだが。。。念のため病理検査に提出するようである。除去後に可動域が改善したことを確認して終了。
9:20 他の手術室にも顔を出してみる。関節鏡チームが小児のpatella sleeve fractureに対する接合術を施行している。骨片が小さいのでfiber wireの類の強固な糸を用いて再建していた。通り過がりなので詳細はあまり見ていない。
10:00 3例目は肘頭骨折後の変形遷延癒合の症例(50代女性)で、関節不安定性を生じている症例だった。前医での骨折部の整復位がイマイチで腕尺関節のcongruityが良くない(鈎状突起骨片が離解したまま)。また橈骨頭の陥没変形も見られる。こちらは人工橈骨頭に置換するかも知れないということであった。
変形遷延癒合(側面).jpg変形遷延癒合(正面).jpg
この手術は私も手洗いをさせてもらい参加した。執刀は白髪OberarztのRether先生、この先生はtraumaグループの中では比較的執刀されているほうである。まず、抜釘を行うと、骨折部はまだ癒合していない(術後2ヵ月くらいと言っていた)。輪状靭帯をお構いなしに切開して展開し、橈骨頭を露出させる。1/5程度陥没変形しているが、こちらはこのままにしてしまった。まずは、転位した鈎状突起骨片を捉えるべくおもむろにドリリング(骨把持せずに)する。やはり熟練しているのだろうか、今まで怪しい人かと思っていたが、狙いにバッチリ刺入されている。ラグスクリューを用いて引き寄せようということのようだ(陳旧性だから寄るか心配・・)。image確認ではなかなか詳細は解りにくかったが、まずまず整復されたようだと一安心。続いて、シンセスのolecranon palte(最先端のフック部分は折らなくてもanatomicalに設置できる:即ち骨が大柄ということ)を用いて尺骨近位端を固定する。橈骨頭が後方に亜脱臼しているので、plateを骨折部の位置で前方凸にbendingさせ(ちょっとつけ過ぎか?)、橈骨頭を整復位に戻そうと試みた。何度かやり直したがほぼ良好な位置に橈骨頭がおさまる。しかし、まだ不安定性があるため、腕橈関節部をK-wireで仮固定しておき、その位置を保持させるべく、創外固定を設置することとなった。その後、創外固定装着のままROM訓練ができるよう、肘関節の回転中心(上腕骨外上顆の中央にK-wireを刺入)を設定。そのK-wireを創外固定のヒンジ部に装着して組み立てていった。創外固定のバーは外側からのみで、回転中心設置に使用したK-wireと、腕橈関節を仮固定していたK-wireは最終的に抜去した。早期ROM訓練を行いつつ、不安定性を解消する方法を取ったようだが、外側への不安定性を改善するために靱帯再建の方法は頭にないようだった。2ヵ月くらいこのまま設置して訓練を行っていくとのこと。
創外固定設置前.jpg創外固定設置後.jpg
12:00 いろいろと勉強になった面もあるのだが、?も幾つかあった手術でもあった。良い結果が得られてくれれば良いのであるが。。。ちょっと質問し辛い雰囲気もあって詳細を尋ねることが出来なかったのが悔やまれる。何となく少し疲れてしまった。このまま昼食に向かった。
13:00 4例目は橈骨遠位端骨折である。やはりこちらでもかなりの頻度を占めている。ここは労災・事故をメインで扱う外傷病院であるため、患者層は比較的若いのが特徴である。従って、高齢者の大腿骨頚部・転子部骨折の割合はそれ程多くないのである。手術は何度かもう見学したので入らなかった。使用プレートはT型のLCPで骨幹部は2穴のみ固定。術後レントゲンを見てみると、整復がもう少しで、いわゆる側転位が残ってしまっていた。DRUJにはかかっていないので術後成績には関与しないかも知れないが、画像的美人ではない。
13:50 Zwart先生がTKAを執刀し始めていた。こちらはナビゲーションシステムを使用しているようである。システムを使う所まで見学出来なかったので残念。やはりこちらでも駆血は使用していなかった。
TKAナビゲーションシステム.jpg
14:10 82歳男性の肩関節前方脱臼に伴う骨性Bankart lesionの変形癒合の症例。何度となく脱臼を繰り返すので手術に至ったとのこと。執刀はStuby先生でOpenで行った。TKAの所で時間を取り過ぎてしまい、Sunderに先に手洗いを越されてしまった(ちょっとの差だった。やはり直接入って見てみたい手術というのはお互いかぶるものだ)。Deltopectoral approachで展開し、subscapuralis muscleを付着部を残して(後で縫合する時ののりしろ)上腕骨頭から剥離していく。ここにstay sutureをかけておき、関節内を展開。Glenoidの前下方の骨片を遊離させ(良く見えなかったが、ここら辺の作業が手こずっていた)、若干refreshして整復位に戻し、K-wire2本で仮固定。Imageで良好な位置にあることを確認(このimage workが難しいと思う)して、骨片が小さいので1本のみ3.5mm CCSを用いて固定した。骨片固定後は、subscapulalis muscleと関節包をPuti-Platt法の如く縫縮して関節脱臼予防とした。
陳旧性骨性バンカート.jpg骨性バンカート術後.jpg
15:15 閉創に入ったので手を下して夕方カンファに向かう(Sunderはまだ手を下ろせないので参加できない。ちょっと可哀そうだ)。次から次へと症例が呈示されていく。症例を呈示しているドクターはassistant arztで、まあベテランの部類に入る。まだその下に何人もドクター(レジデントなど)が控えていて、学生も何人かおり、fellowの東洋人2人もいるのだ。しかし、夕方はどうしても眠くなってしまう・・・。今日も睡魔と闘っていた。
16:30 Sunderがオマーンから持参のインターネットを使って自宅で何度かやっていたが、代金が200Eurもかかっていたことにショックを受けて、彼も病院でインターネットを借りることにしたようだ。私は幸いRahmanian部屋を自由に使わせてもらっているので特に支障はない。どこかに交渉に行ったようである。
18:00 帰宅する。ちょっと可哀そうになったので、またSunderに夕食を御馳走してあげることにした。部屋で片付けなどを行い準備する(レトルトメインなので手間はかからない)。
19:00 ささやかな夕食開始とする。牛肉を含めないように注意した結果、親子丼、豚肉煮込みカレー、しじみ汁、きのこポタージュ、デザート、それに青汁を出してみた。口には合ってくれたみたいで綺麗にたいらげてくれた。青汁はちょっとしかめっ面をしつつも、健康にいいからと言うと我慢して飲んでくれた。またもや使用した食器は自分の分だけはしっかり自分で洗ってくれた。レトルトでも日本の食べ物はたいがい高評価である。
ヒンドゥー教のSunder.jpg
20:20 帰宅しようと彼が自分の部屋の鍵を探してみるが見当たらない。どうやらインナーロックをしてしまったようである。まだこの時間なら病院の総合受付(私がここに来てすぐに部屋の鍵を受け取りに行ったところ)の担当者がいるから、そこに行ってみようということで一緒に行ってみる。
20:40 担当の女性がテクニック(営繕係みたいな人)を呼び出して無事部屋の鍵を開けてもらえた。それまで、彼は寒いのに裸足でサンダル姿だった。もし夜間開けられなかったら、自分の部屋に泊めてあげなければならないと思っていたので、さてどうやって寝たものか?とちょっと考えたりもしていたので良かった。
22:00 日記をつけていたが、急に体が重くなりベッドで横になってしまっていた。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。