2009/10/16 夕方寒空をスーパーまで買い物に出かける [平日]

7:45 朝のカンファレンス開始。Zwart先生が日本語会話表をくれと言っていたので渡してあげる。カンファ後早速発音してみている。先生はオランダ出身で、ニューギニア(旧オランダ領)に住んでいたこともあるし、インドでも5ヵ月ばかり働いたこともあるのだそう。だから異文化には興味があるのかも知れない。
8:00 今日も朝は自分の仕事を片付けることとする。trauma teamの場合1例目にお目当ての手術が組まれていることが少ないからである。
9:00 遅れて手術室にやってくる。気楽な身分である(実際、見たい手術を自由に見て良いということになっているので)。今日もACLをしている。執刀はまだ若手のoberarztのようだ。先日のalbrecht先生と同じやり方で固定していた。先日良く解らなかった骨孔と移植腱を固定するpinは吸収性とのこと。この先生は脛骨側を固定する際に、バネばかりを用いて(何ニュートンかは不明)tension balanceを決めていた。
9:30 今日はtrauma teamが3列平行で行われている。今は1例目が終了し、2例目が始まろうとする時間帯である。同時にACJ(TossyⅢ°と言っていたけど、画像上下垂位でもⅡ°と思う)脱臼の整復固定、不安定型骨盤骨折(垂直剪断型だが転位は少ない)に対するspino-pelvic fixation、tibial plateau骨折のORIFが行われようとしている。今日がtrauma最終日だし、欲張りな私は全ての手術を少しずつ見学できるように外回りをすることにした。邪魔と思われてもいけないので、image係を少し手伝ったり、物を取りに行ったりとちょっと働いてみた。お陰で自由に文句も言われず(内心どう思われているか知らないが)見学することができた。まず、ACJ脱臼整復固定は、短時間で済んでしまった。C-Cligamentのことなどお構いなしのようである。そう言えば、抜釘期間を聞くのを忘れていた。また今度聞いておくことにする。Tibial plateauは外側のsplit typeで陥没はないようだった。関節鏡の準備はしていないので、imageのみで行うのだろう。若手にさせながら、白髪のRether先生が指導している。この先生は比較的下の先生にさせることが多い印象である。怪しいこともあったが、基本的には骨折治療についてはベテランで基本的事項をしっかり下の先生に教えていた。今日の肝のscrewがうまく効いて若干離解していた骨折部もしっかり寄ってくれた。また脛骨粗面にも骨折部が及んでおり(もう少し整復できそうな気もしたが)、ワッシャー付きのscrewで最後に固定を加えて終了した。固定性に問題はなさそうである。
tibial plateau fracture.jpg今日一番のscrew固定.jpgtibial plateau術後.jpg
もう一つの脊椎・骨盤症例の執刀はStuby先生で脊椎の先生なのだろうか?あまり見たことのない先生がassistに入っていた。脊椎のpedicle screwに関してはこのassistの先生の方がむしろ主導権を持っていたくらい。何とこの固定はいわゆる経皮的(小皮切)での固定である。いわゆるGalveston法を小皮切で行っているのだ。Pedicle screwをL4・L5の両側4ヵ所にまず刺入し(正・側image checkで確認)、その後にStuby先生の得意分野と思われるilio sacralにscrewを刺入する(やはりimage workが重要)。この3ヵ所にlodを連結する訳だが経皮的にどうやって設置するのか?と疑問であったが、どの程度ロッドを弯曲させれば良いのかを体外で確認できる専用のデバイスがあり、それを用いて調整していた。ロッドをちょうど良い形にbendingさせた後、皮下トンネルをくぐらせてそれぞれのpedicle screwに固定していくという訳である。あまり見慣れない手技だったので感心してしまった。やはり外傷外科医は幅広いなと思ってしまった。日本ではここまで一人ですることはないだろうけれども。
体外でロッド湾曲を確認する.jpgsupino-pelvic固定術中イメージ.jpg
11:00 各手術手術室を見回っている際に、麻酔前室で膝窩部から注射をしようとしていたので何をしているのか尋ねてみると、膝窩部ブロックというoriginalの方法で足部の手術の麻酔準備をしているとのこと。年配の先生が若い(美人)女医さんに指導していた。神経刺激装置を用いて確認しながら坐骨神経周囲にチューブを留置していた。加えて静脈麻酔を用いて寝かしている。やはり色々なやり方があるのだと感じた。
膝窩部ブロックをする美人麻酔科医.jpg
12:00 他の部屋でHPRVチームのLotter医師とZwick先生がSL dissociationに対して、同部の固定術を行うというので寄ってみた。患者はまだ若いようだが、靱帯再建ではなく固定を選択している。Nusche先生の方針のようであるが、その方が成績が安定しているからと言っていた。自分自身には固定の経験も陳旧例の再建の経験もないので何とも答えようがなかったが、まだ年齢が50くらいと若いのが気になってしまう。この症例には関節鏡は準備されていなかった。Zwick先生が腸骨の採骨まで手伝うと、ちょうど良い頃にNusche先生がハロー!と言って入ってきて交代となった。中継ぎ・抑えみたいに役割分担がなされているのが面白い。
13:30 Tibial plateauの列では既に、60代男性の変形性足関節症に対する足関節固定術が佳境に入っていた(Sunderが手洗いして参加している)。外果も内果も飛ばしてしまって骨切りしてスクリューのみで固定していたのが新鮮(現在日本では関節鏡視下に固定することも結構あると思う)。
14:00 何やら手術室内で私に呼び出しがかかっているとのこと。Nsのスザンナに言われて始めて気がついた。肘の手術の手伝いがいないので来て欲しいとのことだったので向かってみる。もう麻酔をかけ終わったが、まだ下の先生が来ていないので準備してくれという(前もそんなことがあったけど)。
14:20この症例は肘頭骨折tension band wiring術後の偽関節という診断で、plateに入れ替える予定だそうだ。手洗いし終わった頃に下の先生が現れた(この間一緒に飲んだ背は普通だが体格が良い先生。名前は聞いたが忘れてしまった)。消毒し終わったが執刀のStuby先生がなかなか現れない(始めたらダメなのか?と聞いてみたが、consultant医師が執刀、若しくは許可がないと手術が始まれないとのこと。抜釘まで先にやっておいたって問題ないようなのだが・・・)。ちょっと遅れたのを気にしてか、先に展開しておいて!みたいに言って手を洗い始めた。
14:40 結局、偽関節部はimageでも殆ど動かず、局所的にも癒合している感じであった。どこかに電話で確認していたが、結局plate固定のみすることになる(要は急患で受けた先生と手術している人間が異なるので、時々このような連携ミスのようなことが生じてしまう。術前の評価や局所所見を取ることなどがこちらはどうも甘い印象を受けてしまう)。そう言う意味では、手術は職人のように片付けているという感じ。一人でtotalに見ているということは殆どない。ある意味効率は良いが、何となく日本人には違和感を覚えざるを得ない。
15:20 手術は問題なく手早く終了したが、果たして手術の必要があったか?ということを考えると複雑な気持ちになってしまった。局所所見もあまりなかったと言っていたので。
15:40 本日最後の手術が準備された。ルーマニア生まれのDr. Schererと一緒に準備した。鎖骨骨幹部骨折術後で抜釘後の再骨折症例である。術後半年以内に抜釘しているようなのでその時期にも問題があったのかも知れない。Stuby先生の予定だったが、他の関節鏡チームのconsultant医師が代わって執刀した。この先生は、関節鏡手術は上手だったが、この手術には時間がかかってしまっていた。おそらく最近あまり骨折手術などしていなかったのかも知れない。プレート固定を終了した頃にStuby先生が現れ、すみませんみたいに言っている(多分この執刀した先生の方が上なのだろう)。imageを見てウンダバー(素晴しい)!とかプリマ(最高)!とか妙に持ち上げていたのが面白かった。ちょっと年功序列を感じた一瞬であった。
16:30 外は小雨がぱらついている。いったん部屋に戻ってゆっくりする。
17:10 今はちょうど雨も降っていないようなので、街のスーパーまで買い物にでかける。外はコートがないと寒いくらいになってしまった。この1週間で急に冷え込んできた。吐く息はもう既に白いしポケットに手を入れていないと寒い。
17:30 スーパーで買い出しをする。実はお好み焼を作ろうと思っている。キャベツや卵や豚肉を購入(その他のお好み焼きの素やソースなどは先日日本から送って貰っている)。パン屋にビッケ(小さい頃テレビで見ていたバイキングの漫画の主人公、こちらでは今でも子供に人気のキャラクター)のパンが並べてあった。
ビッケのパン.jpg
18:00 寒空を歩いていると、民家の窓に手作りのかぼちゃの人形が飾ってあった。もうすぐハロウィンが近いからか。
窓際にかぼちゃの人形.jpg
18:10 バス停で待っていると、Doldrer先生が電話しながら向かってきた。先生は週に何度か大学病院でも働いているらしく、その後街で買い物して今から帰るところだとのこと。そうか道理で影が薄いと思っていた。あまり手術はされないが、話しても実に感じの良い先生だ。嫌味な感じがないところが良い。
18:30 帰宅。ちょうど、Sunderが部屋から出て病院(Casinoにフルーツを取りに行くのだそう)に向かう所だった。今日は自分が代わりにご飯を作ると言ってくれたのでお言葉に甘えることにした。
18:40 しかし、良く考えたら彼の部屋には鍋もないし食材もこの間見せてもらった怪しいピラフしかないハズ。。。オカズがないのでは?今度皆で食べるお好み焼きを作る練習として、今から早速作ることにした。子供時代は、週末になると鉄板焼きでお好み焼きなどを作ってもらった記憶があるので、作るのは苦ではない。キャベツや天かす、エビ、マヨい~かなどを混ぜて即席お好み焼き完成(肉は入れなかった)。
19:15 彼が部屋に呼びに来た。部屋に行ってみると案の定、ライス(インスタントのパサパサのやつ)とバナナチップス、色んな香草が混ぜてあるスナックなどのみである。しかもお湯を沸かすことができないので、シンクに蛇口からの熱湯を張ってそこで温めたのだとか。。。道理でライスに芯が残っていると思った。鍋がないなら言ってくれれば貸してあげたのに。。。インド人にしては何だか奥ゆかしいのである。
19:30 私持参のふりかけやサケフレークなどのトッピングとお好み焼きで何とかなった。結局、彼はライスだけだったような。。。でもその気持ちを有難く受け取ってあげた。彼は言っていた。本当はこのライスはもっと美味いんだけど。。。私は全部平らげたが、彼は1/3程度残していた。
夕食にありつくSunder.jpg
20:30 お好み焼きが少し余ったので、病院受付のおじさんたちにつまみとともに持って行ってあげた。いつも通りかかるので顔なじみになっている。温めて銀紙に包んで冷めないようにしてあげた。喜んでくれると良いのだが。。。
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