2009/10/9 ドイツ手の外科学会2日目 [平日]

6:10 起床。昨日と同様7時に迎えが来ることになっていた。今日は余裕がありゆっくりと支度する。外は暗く肌寒い。今は降ってないけど、今日は小雨がぱらつくような気がする。
7:00 折りたたみ傘を持参し、救急受付前に行く(部屋の玄関からは1分とかからない)。10分経過した頃にRahmanianからTELが入る。今どこにいる?救急受付前で待っているよ。そうか悪いけど、あと30分位してから迎えに行かせるから・・・。じゃあ、また後で。。。と勝手に時間を変更して来た。まあ良くあることなので仕方なくCasinoにコーヒーでも飲みに行くかと向かう。
7:20 インドのSunderが一人寂しく朝食をとっている。だいたい7時過ぎにCasinoに来て朝食をとり、7:30からのカンファに向かうのだそうだ。trauma teamは人数が多いので全体のカンファは最上階の大会議室でしているそうだ。しばし、異邦人仲間2人でゆっくりと時間を過ごす。
7:40 ようやく迎えが到着する。昨日のイケメンMartinがベンツに乗って現れた。礼儀正しく学生ながら大したものだ(ドアまで開けてくれるがVIP扱いなのか?)。Martinもそうだが、こちらの学生はたいがい自立しており自分の意見をしっかり持っている。今日はこのまま私だけを会場に送ってくれた。この後にまた誰かを迎えに行くそうだ。
8:00 まだ早いので人出もまばらである。メディア室でRahmanianが最終調整をしていた。ビデオが上手く動かないとちょっと焦っている。頑張ってね!と発表のない気楽な私は展示場へと向かって本などを見ていた。
8:35 朝のセッションは手関節であった。第一席の演者が現れないということで、次のRahmanianがトップバッターになった。昨日は手部の皮弁の発表をしていたが、今日は手関節鏡TFCCについてである。今までの私の研修期間で、彼が手関節鏡をしていることを一度も見たことはないのだが、彼が過去4年間の当院のまとめをしていた。治療成績ではなく、MRIと関節鏡所見の比較という内容で、日本でも以前、盛んに発表された時期がある。Sensivity・Specificityなどを出していた。MRIは1.5テスラだし特別なコイルを用いている訳でもないのでMRIの有用性は・・・。質問も幾つかあったが、最後にShaller教授が補足的なコメントを何か言っていた(内容不明)。次の演題も手関節鏡についてだった。TFCCはPalmar分類、SL離解はGeissler分類を用いるのはこちらも同じだ。この発表は治療成績を述べていたが、評価にDASHスコアを使用している。残念ながら特に新しい内容ではなかったと思う。セッションの真ん中あたりで、Phau先生が、当院における舟状骨骨折の治療成績(208例)についてを発表した。nの大きさはさすがである。近位型の骨癒合率が低く、成績が良くない傾向にあった。そのうち、血管柄付き骨移植(VBG)を行った症例を提示していた(新鮮骨折だが)。VBGにより骨癒合率は良くなっていたが、臨床成績は骨接合のみと比べ有意差はなかった。聞きたいことはあったのだが、この場で質問できる訳もなく、ただスライドを眺めているだけなのであった。全体的に口演内容は理解し難いのであるが、スライドの構成やアニメーションの使い方など勉強になることも多い。こちらの発表者はオープニングのスライドにたいてい自分の勤務している病院の外観の写真を入れる。また、最後にスタッフの集合写真を入れる先生もいる。スライドは病院によって同じスライドマスターを使用していることが多い。病院のロゴなどが入っており、大学や病院により個性が出ていて面白い。内容を理解出来ない分、そのような所をポイントに見ていた。途中、リアクションが可愛らしい女医さんが発表後に大きな拍手をもらっていたので写真におさめておいた(名前がHaというのでChina系か?)
Rahmanian.jpgPhau先生.jpg拍手の多かったHa先生.jpg
10:35 15分の休憩を挟み、次のセッションが始まった。BGの仲間達は左前方に固まって座っている。今日はBGから6人も発表があるから壇上に近い位置を押さえているのだ。このセッションでは手指・手関節の人工関節などについてであった。適応に疑問がある症例も多く、日本ではなかなか流行らない気がする。BG病院では、手の外科領域の人工関節は殆ど使用していない。関節固定の症例が多い。最後に一つだけプログラムに出ていない演題が追加されていた。母指CM関節症に対する手術法で、大菱形骨切除 vs suspension arthroplasty(Eping法)の多施設共同研究の発表だった。結局は両群に最終治療成績に差はなかったというのものだったが、follow up期間が2年と短く、今後はどうなるか解らないなと思った。手術時間は切除だけの方が早いと述べている。しかし、これだけでは切除だけで良いとは言い切れないと思われる。他も幾つか聞いた(というよりスライドを眺めている感じ・・)が飽きてきてしまい、展示場で時間を潰していた。
12:00 展示場をうろついていると、昨日挨拶したロシア人2人組(1人は英語で発表していたGarmaev医師)が寄ってきて声をかけてくれる。もう一人の上司の人はドイツに住んでいたことがあるようでドイツ語で喋ってくる(英語はあまり喋れない)。私がトンチンカンだというのが解ると、Garmaev医師にロシア語で話して英語で通訳してもらっている。妙に人懐っこい人だった。一方のGarmaev医師は真面目そうで、モスクワでは腹部外科もしていると言っていた。イリザロフ法はさすがに本家と言った感じで話してくれた。日本は医療も進んでいるだろうから留学したいと言っていた。日本はヨーロッパでは憧れの地なのだろうか?別れ際に写真を一緒に撮ってくれと言うので(有名人でもないのに・・)、ポーズをとる。せっかくなので、自分のデジカメでも撮ってもらった。異国の地では様々なことが起きるものだ。
なぜかGarmaev医師と.jpg
13:00 ワークショップが3ヵ所で行われていたが、一番人気のStrykar社主催のセミナーに行った。ワークショップと言うより講師の先生が症例を幾つか呈示し、終了後に前方に置かれたデモのインプラントや骨モデルを勝手に弄くるという感じだ。軽食が用意されているので、サンドウィッチやフルーツをつまみながら、機械を触ってみるだけという中途半端なワークショップであった。インプラントは手の外科領域のplate setでロッキング機構がウリなためmonocortical fixationを勧めていた(対側を貫いた場合、屈筋腱や神経に障害を与えているという実例を呈示していた。実際にはそれ程頻度が多いとも思えないが・・)。
14:00~16:00 まではその他みたいなセッションで、様々な内容の発表(基礎的な内容が多かった)。Dupuytren’s contructureの分子生化学的解析(難し過ぎ)やら、神経の再生、人工チューブなどバラエティーに富んでいた。基礎知識のない自分にはさっぱり理解できなかった。このセッションでは、Manoli(今日は縁あり過ぎメガネは外してコンタクトでキメていた)とWerdin(実は結構毛深い)、Jaminet(ルクセンブルグ人、カローシが口癖)、Dolderer(最年長のassistant artzt、あまり目立たないが感じは良い)が発表していた。Jaminetの時に珍しく助っ人のような形でSchaller教授がコメントしていた。多分困った質問をされてしまったのだろう。しかし発表はみな堂々としたものであった。
コンタクトでキメたManoli.jpgWerdin医師.jpgちょっと緊張顔Jaminet.jpgDolderer医師.jpg
16:00 結構疲れてきた。展示場も2階にわたっているが、もう2日目の後半なので全ての場所をcheckして回ってしまった。中には幾つか気になるインプラントもあったので、カタログを日本に送付してもらうようにお願いしておいた。うちDepuyのブースの橈骨遠位端骨折用髄内釘は面白かった(背側から刺入し、screwも背側から固定する。かなり細く頼りないイメージがある)。でも使用することはおそらくないと思う。
16:15 本日最後のセッションは、馴染みのある手部骨折、橈骨遠位端骨折であった。全て聞いてきたが、正直言って新しい知識は得られなかった。手関節鏡assist下にType B、Cの骨折を整復するという内容は、聴衆の反応が比較的良かったと思われる。しかし、日本ではもうすでに議論されてきた感がある。橈骨遠位端はtraumaの先生が扱ったり、手の外科の先生が扱ったりと一定ではないためか、まだ定まった感じを受けなかった。BG病院の場合、橈骨遠位端骨折はtrauma teamが扱っており、比較的traditionalな方法で手術を行っているよう。
18:00 今日も長い一日だった。会場が一つしかないため、プログラムが縦にかなり詰め込まれている。会場を分散させれば、もっとコンパクトにできそうなのだが、全部の発表を聞くことはできないのが難点なのか?でも今後は変わっていくような気がする。展示場内でWelling医師(BGで一番若手医師)が教科書を立ち読みしていた。今日はこの後、食事会のようなものがあるのだそうだが、何となく疲れてしまったのとお腹の調子が良くないと言って帰らせてもらった。彼にみんなに宜しく伝えておいてねと言って別れる。昼間少し雨が降ったが、幸い今は止んでいる。
18:45 部屋でお腹に優しい親子丼でも作ろうかと準備していると、RahmanianからTELが入る(彼はドイツでの世話人のような存在になってくれている)。食事会は来ないのか?悪いけど今日は遠慮しておくよ。ビール飲んだらお腹壊しそうで・・。誘ってくれて有難う。また明日(Bis morgen!)。と言って電話を切った。気にしてくれているので有難い。
20:00 家でゆっくりすることとする。CNNでオバマ大統領がノーベル平和賞を受賞したことを流している。軽く驚いた。

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